上原選手は気取るところが無く、負けず嫌いで思ったことを口にする、魅力的な性格の持ち主です。加えて強靭なメンタルを持ち合わせており、私の憧れの選手です。そんな上原選手の経歴、エピソードを紹介します。
NPB時代
上原選手は読売ジャイアンツに入団、同期で西武ライオンズに入団した松阪大輔投手と共に1年目から大活躍、なんと20勝を挙げます。
座右の銘「雑草魂」が有名ですが、マウンド上の上原選手に雑草のイメージはありません。コントロールが抜群でテンポの良い投球をするため試合の進行がとても早く、他の投手が先発する時に比べて1時間程試合時間が短いこともしばしばで、逆に上原選手以外の投手は何故ここまで時間が掛かるのかと思っていたものでした。
負けん気が強く、松井秀喜選手とホームラン王争いをしていたヤクルトスワローズのペタジーニ選手との勝負を避けるようにベンチから指示があると、勝負したい気持ちを抑えて敬遠し、マウンドを蹴り上げて涙を流すという一面を見せました。
MLB時代
入団当時からメジャーリーグ挑戦を公言していましたが、巨人の主力として手放せない戦力であった為、海を渡ったのは選手として全盛期を越えた時期になってしまいました。(と、当時の私は思っていました。)
然しここからが上原選手の凄いところ。持ち前のコントロールを武器に先発投手としてQS率が高く、安定した投球をしていましたが、中継ぎに転向しても抜群のコントロールと切れのあるストレート、スプリットを武器にMLBの並みいる強打者から三振の山を築きます。
2011年はポストシーズン史上初となる3試合連続被本塁打を記録してしまいましたが、翌年のポストシーズンではクリーンナップから3者連続三振を奪ってリベンジします。
そしてレッドソックスに移籍した2013年のシーズンで圧巻の大活躍をします。特にシーズン途中、抑えに転向してからは神懸かり的で、最終的に74イニングで100奪三振を達成し、防御率1.09、21セーブ、WHIP0.57、34人連続アウトや30イニング連続無失点と、手が付けられない素晴らしいパフォーマンスを披露します。
その活躍はポストシーズンでもとどまらず、特にリーグチャンピオンシップではプレッシャーの掛かる場面でも臆することなく強打者を抑え切り、MVPを獲得します。
ワールドシリーズでも圧巻のピッチングで、ポストシーズン最多タイの7セーブを挙げ、ディビジョンシリーズ、リーグチャンピオンシップ、ワールドシリーズと全ての試合で最後の打者を三振で仕留め、胴上げ投手となりました。
国際試合
上原選手はプレッシャーに滅法強く、各選手が最もプレッシャーを感じる国際大会でも素晴らしいピッチングの連続でした。
アマチュア時代には当時151連勝と無敵のキューバ代表を相手に快投して連勝記録をストップ、アテネ、北京オリンピックでの好投、2006年のWBCでも2連敗中の韓国を相手に7回無失点と、実質MVPの活躍を見せるなど、無敗を誇ります。
強心臓
雑草魂、負けず嫌い等の気質が原動力となり、高いポテンシャルと強靭なメンタルで素晴らしいパフォーマンスを披露していた上原選手。私が特に注目していたのは強靭なメンタルで、2013年のシーズンでは救援失敗が殆どありませんでしたが、失敗した試合があっても翌登板では何事もなかったように三者凡退に抑えていました。私のプロ野球観戦経験上、シーズン途中まで完璧に抑えていても、一度失敗するとそれを引きずってしばらく調子を落としてしまう投手を見てきましたが、上原選手は違いました。それはポストシーズンという最もプレッシャーが掛かる試合でも変わりませんでした。元々チキン・ハートの私から見ると憧れしかありません。
最後に
抜群のコントロールやスプリットを駆使ししたピッチングは勿論なんですが、何度も言うように上原選手の最大の魅力は強靭なメンタルです。上原選手曰く「打たれても命まで取られるわけではない」という考え方で、抑えてヒーローになる自分をイメージすると、その通りになるそうです。私もこの考え方を見習ってから、大概のプレッシャーからは解放されるようになりました。
上原選手には野球の本場、メジャーリーグで最高のパフォーマンスを見せて頂いた上に、プレッシャーとの付き合い方も教わり、私の師匠と勝手に思っています。本当にありがとうございました!