日本ボクシング史上最高傑作!世界バンタム級統一王者・ 井上尚弥選手

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私は中学生の頃からボクシング観戦をしており、現在に至るまで日本人世界王者は何十人も誕生しています。観戦開始当初、日本人ボクサーのイメージはバチバチに打ち合い、気合いで打ち勝って判定勝利、といった印象でした。無敗街道を突き進むスター選手が「18戦18勝16KO」といった素晴らしいレコードを引っ提げて試合に臨んでも、世界レベルの対戦相手となると、それまでのレコードを維持することは難しく、どうしても判定決着が多くなっていました。

しかし近年その状況が一変し、長谷川穂積選手、西岡利晃選手、内山高志選手、山中慎介選手辺りからは世界戦で強豪選手を指名し、KO勝利も当たり前の時代になりました。

これは私にとって衝撃的な進歩で、個人的には無理な減量をやめて適正階級で勝負するようになったからではないかと思っています。そんな中で現れたスーパースターが、井上尚弥選手です。

アマチュア7冠!鳴り物入りでプロデビュー!

高校生時代にアマチュア7冠を獲得した井上選手は、私のボクシング観戦史上最初の世界王者・大橋秀行氏の開設した大橋ジムに入門しました。デビュー戦で東洋太平洋ランカーと対戦してKO勝利した井上選手はあの辰吉丈一郎選手に並ぶ、デビュー4戦目での日本王者になりました。

対戦相手の田口良一選手も井上選手を相手に果敢に打ち合い、判定決着まで持ち込んだことで逆に評価を上げ、世界ライトフライ級統一王者まで上り詰めました。

田口選手は後に、この試合で「相手は井上尚弥より強い筈がない」という後ろ盾を得たと語っています。

世界初挑戦

世界初挑戦は当時日本歴代最速の6戦目で、相手はメキシコの実力者、アドリアン・エルナンデス選手でした。

井上選手は初挑戦にも拘らず、既に何度も防衛戦を行っている王者のような試合運びでエルナンデス選手を圧倒していました。中盤に無理な減量の影響で足がつってしまい、危ないシーンもありましたが強打で強引に試合を終わらせ、貫禄さえ感じました。

8戦目で2階級制覇!

井上選手は減量苦から一気に2階級上げてスーパーフライ級で世界挑戦をします。しかも相手はアルゼンチンの名王者、オマール・ナルバエス選手です。フライ級、スーパーフライ級でそれぞれ二桁防衛を続け、プロ、アマを通じてダウン経験すらない強豪を相手にするのは時期尚早ではないかという意見もありました。

しかし井上選手は試合開始早々に右の強打でナルバエス選手からダウンを奪うと2Rまでに計4度のダウンを奪い、見事なKO勝ちを収めました。試合後にはナルバエス陣営から「グローブの中に何か仕込んでいるのではないか、ナルバエスがこんな倒れ方をするわけがない」とクレームをつけられ、大橋会長がその場でグローブを外して確認すると、苦笑いで井上選手を称賛したというエピソードもあり、衝撃的な勝利でした。

私のボクシング観戦史上、日本人ボクサーの世界戦でこれほど痺れた試合はありません。

不遇のスーパーフライ級時代

井上選手はナルバエス選手に勝利したことで一気に知名度が上がり、更に圧倒的な勝利を続けます。そしてフライ級から転級した現役最強王者、ローマン・ゴンサレス選手との対戦が浮上します。

私は井上選手の勝利を疑わず、両者の対戦を待ち望んでいました。しかしようやく両者の対戦が現実味を帯びた頃、ゴンサレス選手が敗れてしまいます。

その後も対立王者との統一戦話が出ますが、井上選手が強すぎることで対戦を避けられ、タレントが揃っていると言われたスーパーフライ級でビッグマッチを実現出来なかったことが残念でなりません。

16戦目で3階級制覇!

スーパーフライ級でも減量が厳しくなり、バンタム級に転向した井上選手は亀田三兄弟の三男、亀田和毅選手を二度破ったことで知られるジェイミー・マクドネル選手に挑戦し、圧巻の1RKOで3階級制覇を達成します。

マクドネル選手との試合後、井上選手はリング上で階級内最強ボクサー決定トーナメント・WBSSに参戦することを発表します。

WBSS制覇!!

1回戦の元世界王者ファン・カルロス・パヤノ選手戦で「ZONE」に入った井上選手が見事なワン・ツーで衝撃的な1RKO、準決勝では事実上の決勝戦と言われたエマニエル・ロドリゲス選手との無敗王者対決を2RKO、ロドリゲス選手が戦意喪失するほどの強打を見せつけます。

決勝戦は伝説の王者、ノニト・ドネア選手を相手に1Rは上々の立ち上がりを見せましたが、迎えた2Rにドネア選手の必殺左フックをまともに食らってしまいます。この一撃で右目眼窩底と鼻を骨折し、右目上部をカットして相手が二重に見えるという最悪の状態に陥りますが、11Rには左ボディでダウンを奪い、フルラウンドを戦い抜いて判定勝ちを収めます。井上選手を追い込んだドネア選手も流石といったところでしょうが、この状態でも文句無しの判定勝ちまで持っていく井上選手のポテンシャルは全くもって規格外です。この激闘はアメリカのボクシング専門誌、リングマガジンで年間最高試合にも選出されます。

全試合で圧巻のパフォーマンスを見せつけ、WBSSを制覇。結果は期待通りで内容は期待以上、やはりスーパースターだと再認識しました。本来ならばこれで主要4団体王座統一の筈でしたが、WBC王座は空位であった為、WBO王座はゾラニ・テテ選手欠場の為に獲得できず、バンタム級4団体統一はお預けとなってしまいました。

ただ試合後にはアメリカのボクシングプロモート会社・トップランク社との契約を発表し、残る王座を吸収するべく、マッチメークの環境が整いました。

リング誌PFPランキング2位!!!

仮に体重差が無いものとして、全階級を通じて最強のボクサーは誰か?正確な答えを出すことは出来ませんが、ボクシング界で最も歴史と権威あるアメリカのボクシング専門誌「リングマガジン」では毎月独自にパウンド・フォー・パウンドランキングを発表しています。

このランキングでトップ10入りを果たせば世界レベルの最強ボクサーとして認知されますが、過去に日本人でトップ10入りしたボクサーは「神の左」山中慎介選手と「KOダイナマイト」内山高志選手、田中恒成選手との一戦を制した井岡一翔選手しかおらず、日本でも屈指の名王者しかランクインしていません。トップ3になってくると誰もが認めるスーパーチャンピオンが名を連ねています。

井上選手はこのランキングでも年々順位を上げて、現在はなんと2位!(2021.4.30時点)世界屈指のスーパーチャンプとして高評価を受けています。

⇒2022.6.11 日本人史上初の1位に!おめでとうございます!

悲運のスーパーチャンプ

井上選手は無敗の3階級制覇、WBSS制覇と輝かしい経歴を歩んでいるように見えますが、彼の実力を考えると個人的には悲運としか言えません。

ローマン・ゴンサレス選手との対戦がもっと早く決定していたら、衝撃的なKO勝利によって世界的な知名度は一気に広まっていたでしょう。

WBSSに主要団体の全王者が参加していれば、ゾラニ・テテ選手が負傷していなければ主要4団体の王座統一は既に達成していて、PFPランキングも1位になっていたことでしょう。

更に新型コロナウイルスの流行が無ければ、選手として絶頂期の今、多くのビッグマッチが組まれていたことでしょう。

とは言え、井上選手はそれら多くのマイナス要素があっても常に前を向き、目の前の試合を一つ一つクリアして評価を上げ続けています。

更なる高みへ

最新の試合でも強豪ジェイソン・マロニー選手を鮮やかなカウンターで沈め、高いパフォーマンスを維持している井上選手。今後はバンタム級の主要4団体統一、PFPランキング1位、4階級制覇、5階級制覇、スーパースター同士のビッグマッチなど、更なる飛躍を期待されています。

余談ですが、私は既に引退して久しいフェザー級の世界王者、ナジーム・ハメドというボクサーが大好きでした。当時ハメド選手に勝てる日本人ボクサーは絶対に存在しないと思っていましたが、最近になって井上選手ならば、と思うようになりました。想像の域を超えることは出来ませんが..。

日本ボクシング史上最高傑作・井上尚弥選手が充実したボクサー人生を歩めますように!

本記事投稿時点の井上選手の戦績は20戦20勝17KO!次戦はIBFの指名挑戦者、マイケル・ダスマリナス選手です。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、ワクワクしています♪それでは!

2022.7.9 時点では23戦23勝20KOに更新!ドネア選手との再戦は痺れました!!強い!!!

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